
「Desafinado(デサフィナード)」は、アントニオ・カルロス・ジョビンによって作曲されたボサノヴァの名曲です。1958年に発表され、その美しいメロディーと複雑ながらも親しみやすいコード進行で世界中の聴衆を魅了してきました。ジョビンの音楽は、ブラジルの国民的な音楽であるサンバのリズムとハーモニーを基盤としつつ、ジャズの影響を受けた洗練されたスタイルが特徴です。
「Desafinado」のタイトルはポルトガル語で「 desafinado 」という意味で、「音程がずれている」または「不協和音」を意味します。しかし、この曲は決して不協和音を感じさせるものではありません。むしろ、意図的に音程を少しずらしたり、予想外のコード進行を用いることで、独特の緊張感と魅力を作り出しています。
ジョビンは、「Desafinado」を「不協和音の美しさ」を表現した曲だと語っていました。彼は伝統的な音楽理論にとらわれず、自由な発想で音楽を創造していました。この曲は、彼の革新的な作曲スタイルの代表例であり、ボサノヴァの音楽を世界に広める重要な役割を果たしました。
アントニオ・カルロス・ジョビン:ボサノヴァの巨匠
アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim、1927-1994)は、ブラジルの作曲家、ピアニスト、シンガーソングライターとして、ボサノヴァの創始者の一人として広く知られています。彼の音楽は、世界中に大きな影響を与え、ジャズやポップスなど様々なジャンルの音楽にインスピレーションを与えてきました。
ジョビンは幼い頃から音楽に興味を持ち、ピアノを学び始めました。彼はクラシック音楽の教育を受けましたが、サンバやその他のブラジルの民俗音楽にも強い関心を抱いていました。1950年代には、友人の詩人ヴィニシウス・デ・モライス(Vinicius de Moraes)と組んで多くの楽曲を創作し、ボサノヴァという新しいジャンルの誕生に貢献しました。
ジョビンの代表的な作品には、「Desafinado」、「The Girl from Ipanema」、「Corcovado(Quiet Nights of Quiet Stars)」などがあります。彼の音楽は、メロウなメロディー、複雑ながらも美しいコード進行、そしてブラジルらしい情熱的なリズムが特徴です。
「Desafinado」の構成と演奏
「Desafinado」は、AABA形式の楽曲で、それぞれのセクションが独特の雰囲気を持っています。
- Aセクション: メロウなメロディーと軽快なリズムが特徴のイントロ部分。
- Bセクション: リズムが少し加速し、コード進行も複雑になる部分。
- Aセクション: 元のメロディーに戻る部分。
- Aセクション: 最後に再び元のメロディーで締めくくられます。
この曲は、多くのアーティストによってカバーされており、それぞれ異なる解釈で演奏されています。ジョビンのオリジナルバージョンは、彼の透き通るような歌声とピアノの繊細なタッチが魅力的です。また、スタン・ゲッツ(Stan Getz)やジョアン・ギルバート(João Gilberto)など、ボサノヴァの巨匠たちが演奏したバージョンも有名です。
ボサノヴァ:ブラジルの太陽を浴びた音楽
ボサノヴァは、1950年代後半にブラジルで生まれた音楽ジャンルです。サンバのリズムとハーモニーを基盤としつつ、ジャズの要素を取り入れた洗練されたスタイルが特徴です。その名はポルトガル語で「新しい波」を意味し、当時ブラジルの音楽シーンに新たな風を吹き込んだと言われています。
ボサノヴァは、ブラジルの美しい風景や陽気な雰囲気を反映した、リラックスできるサウンドが魅力です。メロウなメロディー、軽快なリズム、そして複雑ながらも親しみやすいコード進行が特徴で、世界中の聴衆を魅了してきました。
「Desafinado」を楽しむためのポイント
- **ジョビンの歌声をじっくりと聴き込みましょう。**彼の透き通るような声は、この曲の雰囲気をさらに引き立てています。
- **複雑なコード進行に耳を傾けましょう。**ジョビンの作曲スタイルは、ジャズの影響を受けており、コード進行が非常に魅力的です。
- **軽快なリズムに合わせて体を動かしてみましょう。**ボサノヴァは、踊りたくなるような楽しい音楽です。
「Desafinado」は、ボサノヴァの魅力を凝縮したような素晴らしい楽曲です。ジョビンの才能と革新性を体感し、ブラジルの太陽を浴びた音楽の世界に浸ってみてください。
関連アーティスト | |
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アントニオ・カルロス・ジョビン(作曲者) | |
ヴィニシウス・デ・モライス(作詞家) | |
スタン・ゲッツ(サックス奏者) | |
ジョアン・ギルバート(歌手、ギター) |